■お店の「コンセプト」ってどういう意味?
お店を開こうとする際に、よく耳にするのが「コンセプト」という言葉です。
辞書を引くと「概念」と書かれていますが、お店づくりの場合は、お店の「基本的な考え方や姿勢・特徴」という意味で使われます。
開店作業は、お店のコンセプトに沿って進めていきますので、コンセプトがどれだけしっかり固まっているかで、今後の事業の成功度合いが変わってきます。
もし、お店のコンセプトが固まっていないと、どのようなお客様をターゲットにするのか、どのような料理を提供するのか決められず、出店エリアや店舗の外装・内装などを選定することができません。まず、ご自身のなかで誰に話してもイメージしてもらえるようなお店のコンセプトを作り上げることが大切です。
■「コンセプト」を"5W2H"で書き出してみよ
コンセプト作りですが、いきなり「じゃあ、コンセプトを作ってみよう」と思っても、何から始めてよいのか分からないと思います。
そんなときは、コンセプトを次の"5W2H"に分けて書き出してみると頭の中が整理できます。
①Why(なぜ?)
②What(どんなメニューを?)
③Who(誰に?)
④Where(どこで?)
⑤When(営業時間は?)
⑥How(どのように提供する?)
⑦How much(どのくらいの価格で?)
では、それぞれについて説明していきます。
①Why(なぜ?)
まず、「なぜ、このお店をやりたいのか?」「どのようなお店にしたいのか?」という想いを表現しましょう。 ここは、今後商売をしていく上で、最も大切なところとなります。
②What(どんなメニューを?)
次に、お客様にどのようなメニュー(商品)を提供していくのか、看板メニューから書いていきましょう。
ここでの注意点は、自分が作りたい料理ではなく、お客様が食べたい料理を考え、お客様視点でメニュー開発を行うことです。
ちなみに人気メニューの多くは一般消費者が知っている料理を、その店でしか食べられない料理に差別化したものです。
最近、注目されている「唐揚げ」は、今までずっと存在していた料理ですが、少しアレンジを加えただけでブームになった代表的な例です。
既存の料理を、独自の食材の使用、今までとは違った調理方法、意外な食材とのコラボレーション、インパクトのある盛りつけ方、変わった提供方法などでアレンジし、他店との差別化を狙ってみてはいかがでしょうか。
逆に、新規性を狙いすぎて誰も聞いたことがないようなメニューやメニュー名からどんな料理か想像がつきづらいものは注意が必要です。
当たれば爆発的なヒットにつながる可能性がありますが、浸透させるのにかなりの時間と費用がかかりますので、初めて開業される方にはリスクが大きすぎると思います。
また、コンセプト作りの段階で詳細なレシピは必要ありませんが、どのようなメニューを提供するのかをある程度決めておかないと、物件探しや備品を購入する際に、必要なスペースや厨房機器などの確認ができず困ることになります。
③Who(誰に?)
「男性・女性」だけではなく、「年齢」や「ライフスタイル」、「年収」などの属性まで考え、最も来てほしいお客様(メインターゲット)を明確にしていきましょう。
最終的には、メインターゲットの次にお店に来てほしいお客様(サブターゲット)をイメージしておくとよいと思います。
④Where(どこで?)
どのような立地でお店を開くのかを書きましょう。
メインターゲットとサブターゲットのお客様を③で決めていますので、そのお客様が存在しているエリア(駅前?住宅街?幹線道路沿いの郊外?など)で候補地を絞り込みます。
お店の立地選びはとても重要なポイントですので、詳しくは次回ご説明します。
⑤When(営業時間は?)
何時から何時まで営業するのか?定休日はどうするのか?などを決めましょう。
⑥How(どのように提供する?)
今まで決めてきたメニューをどのように提供するのか(セルフサービス?フルサービス?)を書きましょう。
サービスに力を入れるとお客様の満足度は高まりますが、人件費も増加します。
人件費とのバランスを意識しながらお客様に満足していただけるサービスの方法について考えましょう。
⑦How much(どのくらいの価格で?)
次の3点に注意しながらメニューの価格を決めていきましょう。
(ア)原価率(商品の粗利)を意識した価格設定
(イ)単品メニューとしての価格設定(商品単価)
(ウ)お客様が最終的に支払う総額としての価格設定(客単価)
高級レストランと大衆向け居酒屋では、商品単価が異なりますので、お客様が3,000円分注文するとしても、メニュー数は変わってきます。
どのような注文内容(メニュー数+ドリンク数)で客単価がいくらになる場合に、お客様の満足度が最も高まるのかを考えておきましょう。
また、お客様が「この料理、このサービスだったら安かったなぁ」と感じるのは注文時や料理が出されたときではなく、代金を支払うときです。
つまり、お客様は会計時にそのお店について評価するということも忘れないようにしましょう!!
ここまで、5W2Hを使ってお店のコンセプトを作る方法をご説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
大切なことは、ご自身の頭の中にあるイメージを文字に落として、見える化することです。
そして、①~⑦全ての項目に矛盾がないか?誰が読んでも理解できるか?を確認してください。
今後、開業されるにあたって、多くの方々の協力を得ることが必要となってきます。 開業資金を借りるとき、物件を借りるとき、工事を依頼するとき・・・。
必ず書き出したコンセプトが役に立ちます。 売れるお店づくりは、お店のコンセプトづくりから始まります。